霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二七章 月光(げつくわう)照梅(せうばい)〔四二〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻 篇:第5篇 百花爛漫 よみ:ひゃっからんまん
章:第27章 第9巻 よみ:げっこうしょうばい 通し章番号:420
口述日:1922(大正11)年02月16日(旧01月20日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
カルの国をただ一人で宣伝して回っていた梅ヶ香姫は、はざまの森に着いた。疲れ果てて一歩も進むことができない身の上を一人嘆いている。
はざまの森では鷹取別の密偵たちが、三五教の宣伝使を捉えようと潜んでいたが、梅ヶ香姫の様子が幽霊のようにも見え、おびえている。一人が梅ヶ香姫に声をかけたが、梅ヶ香姫は幽霊の振りをして密偵たちを追い払った。
梅ヶ香姫が一人祝詞を上げていると、そこへ先ほどの密偵たちの一人がやってきた。そして、自分はカルの国の役人だが、実は三五教を密かに奉じる者であり、ぜひ家に泊まっていただきたい、と申し出た。
また、鷹取別は桃上彦の三人の娘が三五教の宣伝使となって北上していることを察知し、捉えようと多くの密偵を放っていることを明かし、梅ヶ香姫に注意を促した。
梅ヶ香姫は親切に感謝し、この役人の家に世話になることにした。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0927
愛善世界社版:211頁 八幡書店版:第2輯 350頁 修補版: 校定版:219頁 普及版:89頁 初版: ページ備考:
001()()についでひる(くに)
002(とら)()野辺(のべ)獅子(しし)大蛇(をろち)
003曲津(まがつ)(こゑ)(おく)られて
004大川(おほかは)小川(をがは)打渡(うちわた)
005やつれ()てたる蓑笠(みのかさ)
006身装(みなり)(かる)きカルの(くに)
007(はな)(つぼみ)梅ケ香姫(うめがかひめ)
008(きみ)(みこと)はただ一人(ひとり)
009女心(をんなごころ)(さび)()
010(かみ)(ちから)(まこと)(つゑ)
011草鞋(わらぢ)脚絆(きやはん)のいでたちは
012()(いさ)ましの(かぎ)りなり
013梅ケ香(うめがか)(かを)(はる)()
014何時(いつ)しか()ぎて新緑(しんりよく)
015(したた)山野(やまの)(ふゆ)(そら)
016(あらし)(かぜ)()かれつつ
017(あき)紅葉(もみぢ)()りはてて
018ふみ(なら)はぬ常世国(とこよくに)
019()(つか)れたる(ゆき)(みち)
020太平洋(たいへいやう)(なみ)(たか)
021大西洋(たいせいやう)(つつ)まれし
022高砂島(たかさごじま)常世国(とこよくに)
023陸地(りくち)陸地(りくち)(うみ)(うみ)
024つなぐはざま地峡国(ちけふこく)
025梅ケ香姫(うめがかひめ)はやうやうに
026はざま(もり)()きにけり。
027 木枯(こがらし)(かぜ)(ゆき)さへ(まじ)へて、028獅子(しし)(たけ)るやうに(うな)()つてゐる。029太平洋(たいへいやう)(なみ)()らして、030十六夜(のちのよ)(つき)海面(かいめん)姿(すがた)(あら)はしたり。031梅ケ香姫(うめがかひめ)(ただ)一人(ひとり)032(なみ)()けて(のぼ)月影(つきかげ)(むか)つて、
033『あゝ今日(けふ)十六夜(じふろくや)のお(つき)さま、034何時(いつ)()ても(うる)はしい御顔(おんかんばせ)035(わらは)(おな)十六歳(じふろくさい)(をんな)一人旅(ひとりたび)036(かは)れば(かは)()(なか)ぢやなア。037(おも)(まは)せば、038(とき)弥生(やよひ)三月三日(さんぐわつみつか)039(はな)(みやこ)(きこ)えたる聖地(せいち)ヱルサレムを主従(しうじう)四人(よにん)立出(たちい)でて、040()みも(なら)はぬ旅枕(たびまくら)041千万(ちよろづ)(なや)みを(しの)ぎしのぎて(とほ)海原(うなばら)(わた)り、042(かみ)(めぐ)みの有難(ありがた)くも(こひ)しき(ちち)(めぐ)()ひ、043親子(おやこ)対面(たいめん)044やれやれと(よろこ)()もなく(わらは)姉妹(きやうだい)は、045神様(かみさま)のため、046世人(よびと)のために(たふと)宣伝使(せんでんし)となつて、047(また)もや山坂(やまさか)()荒海(あらうみ)(わた)り、048あらゆる艱難(かんなん)(たたか)ひ、049ここに(ちから)(たの)主従(しうじう)四人(よにん)は、050珍山彦(うづやまひこ)(かみ)(いまし)めに()つて東西南北(とうざいなんぼく)(たもと)(わか)ち、051四鳥(してう)(かな)しみ、052釣魚(てうぎよ)(なみだ)053(かわ)()もなき五月(さつき)(そら)054(うづ)(みやこ)(あと)にして、055便(たよ)りも(なつ)荒野(あらの)(わた)り、056(あき)何時(いつ)しか暮果(くれは)てて、057はやくも(ふゆ)(はじ)めとなつたるか。058(かみ)のため、059()のためとは()ひながら、060さてもさても(さび)しいこと、061神様(かみさま)(ちから)(まこと)(つゑ)に、062やうやう此処(ここ)まで()るは()たものの、063もう一歩(ひとあし)(すす)まれぬ。064疲労(くたび)()てたるこの身体(からだ)065あゝ(なん)とせむ』
066(そで)(なみだ)(ぬぐ)(をり)しも、067前方(ぜんぱう)より二三(にさん)老若(らうにやく)この()(あら)はれ、
068(かふ)『オイオイあのはざま森蔭(もりかげ)()よ、069()たぞ()たぞ』
070(おつ)(なに)()たのだ』
071(かふ)()たの()んのつて、072それ(れい)ぢや(れい)ぢや』
073(おつ)(れい)とはなんだい』
074(かふ)今夜(こんや)のやうな(かぜ)()(ばん)には、075()てして()(やつ)ぢや。076蒼白(あをじろ)()せた(つら)をして()をギロツと()いて、077(かみ)さんばら()らしてお(いで)御方(おかた)だ。078(れい)(れい)ぢやが、079(れい)(うへ)(いう)がつくのだよ。080それ()い、081木枯(こがらし)がヒユウヒユウと(うな)つてゐる。082オツツケ其処(そこ)らからドロドロだ』
083(へい)(なに)威嚇(おどか)しよるのだ。084幽霊(いうれい)(なに)もあつたものか。085(なん)ぢや貴様(きさま)(たち)は、086ビリビリ(ふる)ひよつて、087(こゑ)まで(あや)しいぢやないか』
088(かふ)(ふる)ふとるのぢやないワイ。089(なん)だか身体(からだ)(こま)かく(うご)いとるのぢや』
090(へい)(なに)()もあれ、091(なん)だか独語(ひとりごと)()つてゐるやうだ。092そつと()つて偵察(ていさつ)をして()やうかい』
093(かふ)貴様(きさま)094(さき)()け』
095(へい)『ハハア(こは)いのだな。096()(よわ)(やつ)ぢや、097そんな(こと)吾々(われわれ)探偵(たんてい)(つと)まるか。098鷹取別(たかとりわけ)(かみ)さまより、099三五教(あななひけう)女宣伝使(をんなせんでんし)はざま(くに)(わた)つて常世(とこよ)(くに)()くと()ふことだから、100女宣伝使(をんなせんでんし)()つけたらふん(じば)つて()れて()いと()つて、101吾々(われわれ)結構(けつこう)なお手当(てあて)(いただ)いて夜昼(よるひる)かうして(まは)つて()るのぢやないか。102(もし)()んな(やつ)が、103その(うち)一人(ひとり)ででもあつて()よ、104吾々(われわれ)結構(けつこう)御褒美(ごほうび)をドツサリ頂戴(ちやうだい)して、105親子(おやこ)一生(いつしやう)(あそ)んで(くら)さるるのだ。106(こは)(ところ)()かねば熟柿(じゆくし)()へぬぞ、107虎穴(こけつ)()らずむば虎児(こじ)()ずだ。108(ひと)肝玉(きもだま)()して、109貴様(きさま)から(さき)偵察(ていさつ)をして()い』
110(かふ)『アヽそれもさうだが、111(なん)だか気味(きみ)(わる)いな。112ヤーそれなら三人(さんにん)()(つな)いで、113一緒(いつしよ)()かうかい。114宣伝使(せんでんし)()(こと)(わか)れば、115(べつ)(こは)(こと)(なん)ともありやしないワ。116一人(ひとり)(をんな)三人(さんにん)(をとこ)だ。117磐石(ばんじやく)(もつ)(たまご)(やぶ)るよりも(やす)仕事(しごと)だ。118(しか)しながら(いう)()(れい)()であつたら貴様(きさま)はどうするか』
119(おつ)幽霊(いうれい)でも(なん)でも三人(さんにん)()れば大丈夫(だいぢやうぶ)だ。120しつかり()(つな)いで()つて()ようかい』
121(かふ)(おつ)(へい)は、122梅ケ香姫(うめがかひめ)休息(きうそく)する森蔭(もりかげ)(あら)はれ(きた)り、
123(かふ)『ヤイ、124その(はう)何者(なにもの)ぢや。125(せい)あるものか、126(せい)なきものか、127ユヽヽヽ幽霊(いうれい)か、128バヽヽ化物(ばけもの)か』
129(おつ)『セヽヽヽ宣伝使(せんでんし)か、130宣伝使(せんでんし)なれば鷹取別(たかとりわけ)神様(かみさま)に……』
131(へい)『シツ、132(なに)()ふのだ。133馬鹿(ばか)(やつ)だな。134モシモシお女中(ぢよちゆう)135一寸(ちよつと)(もの)をお(たづ)(いた)します。136貴女(あなた)吾々(われわれ)(しん)ずる(たふと)有難(ありがた)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)御座(ござ)いませう。137何卒(どうぞ)ハツキリと御名告(おなの)(くだ)さいませ』
138 木枯(こがらし)(かぜ)はヒユウヒユウと()(まく)つてゐる。139(なみ)(おと)はドンドンと(ひび)いて()た。140梅ケ香姫(うめがかひめ)(ゆき)のやうな(しろ)き、141(ほそ)()ぬつと(まへ)()し、
142『あゝ(うら)めしやな、143(わらは)(けは)しき山坂(やまさか)()え……』
144(かふ)(おつ)(へい)『ヤア、145這奴(こいつ)はたまらぬ。146矢張(やつぱ)(れい)ぢや(れい)ぢや、147(れい)(うへ)(いう)()代物(しろもの)だよ。148()げろい()げろい』
149(しり)ひつからげ(くも)(かすみ)()()つたり。150梅ケ香姫(うめがかひめ)は、151悄然(せうぜん)として独言(ひとりごと)
152(みづ)()らさぬ悪神(あくがみ)仕組(しぐみ)153鷹取別(たかとりわけ)(わらは)姉妹(きやうだい)行方(ゆくへ)(たづ)(くる)しめむと(くはだ)つると()く。154繊弱(かよわ)(をんな)一人旅(ひとりたび)155アヽせめて照彦(てるひこ)でも()()れたならば、156こんな(とき)には(ちから)になつて()れるであらうに、157アー、158イヤイヤ師匠(ししやう)(つゑ)につくな、159(ひと)(ちから)にするな。160(かみ)(なんぢ)(とも)にありとの三五教(あななひけう)(をしへ)161アヽ(まよ)ひぬるか、162女心(をんなごころ)のあさましさよ。163たとへ如何(いか)なる(つよ)(てき)(あら)はれ(きた)るとも、164(まこと)(ひと)つの言霊(ことたま)(ちから)に、165百千万(ひやくせんまん)曲津見(まがつみ)言向(ことむ)(やは)さねばならぬ(かみ)使(つかひ)だ。166アヽ神様(かみさま)(ゆる)して(くだ)さいませ』
167大地(だいち)平伏(ひれふ)し、168()()()(つき)(むか)つて、169声低(こゑびく)感謝(かんしや)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)する(をり)しも、170最前(さいぜん)(あら)はれし三人(さんにん)(なか)一人(ひとり)171(へい)突然(とつぜん)としてこの()(あら)はれ、
172『ヤア貴女(あなた)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)173(むかし)はヱルサレムの天使長(てんしちやう)桃上彦命(ももがみひこのみこと)御娘(おんむすめ)(うけたま)はつて()りました。174ここは鷹取別(たかとりわけ)(かみ)警戒(けいかい)(はげ)しく、175貴女様(あなたさま)三人(さんにん)御姉妹(ごきやうだい)召捕(めしと)るべく四方(しはう)八方(はつぱう)探女(さぐめ)(つか)はし、176蜘蛛(くも)()(ごと)警戒網(けいかいまう)()つて()ります。177(わたくし)(じつ)はその役人(やくにん)一人(ひとり)178(いま)三人連(さんにんづ)れで様子(やうす)(うかが)へば、179まさしく宣伝使(せんでんし)一人(ひとり)(さと)つた(ゆゑ)180二人(ふたり)同役(どうやく)威喝(おどか)して、181まき()らして(わたくし)(しの)んで(まゐ)りました。182(わたくし)(うち)(じつ)むさ(くる)しい荒屋(あばらや)御座(ござ)いまするが、183(しば)らく警戒(けいかい)(ゆる)むまで、184わが()にお(しの)(くだ)さいますれば有難(ありがた)御座(ござ)います。185この(くに)はウラル(ひこ)(をしへ)(さか)んな(ところ)で、186三五教(あななひけう)のアの()()つても、187(ひど)成敗(せいばい)()はねばならぬ(あぶな)(ところ)でございます。188(わたくし)(もと)はウラル(けう)(しん)じて()りましたが、189貴女様(あなたさま)一行(いつかう)てる(くに)からアタルの(みなと)へお(わた)りになるその(ふね)(なか)(おい)て、190三五教(あななひけう)(たふと)教理(けうり)()り、191(こころ)(ひそ)かに信仰(しんかう)(いた)して()りますもの、192(わたくし)(つま)熱心(ねつしん)なる三五教(あななひけう)信者(しんじや)でございます。193かういふ(ところ)長居(ながゐ)(おそ)れ、194(また)もや探偵(たんてい)()にとまれば一大事(いちだいじ)195どうぞ一時(いちじ)(はや)く、196(わたくし)(うち)御越(おこ)(くだ)さいませぬか』
197『アヽ世界(せかい)(おに)はない、198御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)御座(ござ)います。199(しか)しながら何事(なにごと)惟神(かむながら)(まか)したこの()200たとへ鷹取別(たかとりわけ)(まへ)()()され、201嬲殺(なぶりごろ)しに()はうとも、202(いやし)くも宣伝使(せんでんし)たる()(もつ)て、203(ひと)(なさけ)ほだされて、204たとへ三日(みつか)でも五日(いつか)でも(むな)しく月日(つきひ)(すご)されませうか。205(かみ)(ちから)(まこと)(つゑ)に、206()くまでも宣伝歌(せんでんか)(とな)へて()(ところ)まで(まゐ)ります。207また貴方様(あなたさま)(とら)へられて、208鷹取別(たかとりわけ)面前(めんぜん)曳出(ひきだ)さるるとも、209これも(なに)かの神様(かみさま)のお仕組(しぐみ)210御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)うございますが、211貴方(あなた)(うち)(しの)(かく)るることだけは(ゆる)して(くだ)さいませ』
212『イヤ如何(いか)にも(かん)()りたるお言葉(ことば)213理義(りぎ)明白(めいはく)なる(あふ)せには、214(かへ)言葉(ことば)もございませぬ。215(しか)しながら、216袖振(そでふ)()ふも多生(たしやう)(えん)217これも(なに)かの神様(かみさま)のお引合(ひきあは)せでございませう。218アヽ(しか)らば(わたくし)(うち)(かく)(しの)ぶと()(こと)はなさらずに、219何卒(どうぞ)一晩(ひとばん)(わたくし)(うち)御出(おい)(くだ)さいまして、220女房(にようばう)(たふと)三五教(あななひけう)(をしへ)()かしてやつて(くだ)さいますれば有難(ありがた)うございます』
221『アヽ(しか)らば不束(ふつつか)ながら神様(かみさま)(をしへ)(つた)へさして(いただ)きませう』
222早速(さつそく)御承知(ごしようち)223有難(ありがた)御座(ござ)います』
224(さき)()つて()く。225(また)もや(うしろ)(はう)(あた)つて、226(さわ)がしき人声(ひとごゑ)(きこ)(きた)る。
227 ()れば、228鷹取別(たかとりわけ)(しるし)()つた提燈(ちやうちん)(ひかり)木蔭(こかげ)()らぎつつ、229足早(あしばや)此方(こなた)(むか)()たる模様(もやう)なり。
230大正一一・二・一六 旧一・二〇 外山豊二録)